就学猶予を早生まれで受けた事例は?メリットとデメリットも紹介
みなさんこんにちは!
胎児発育不全でお嬢を648gの超低出生体重児で出産したlala♪です!
以前、リトルベイビーのサークルに参加させていただいた際、他の参加していた早産児ママさんが
娘は切迫早産で、予定外に早生まれになってしまって、
同級生についていけるか心配で。
「就学猶予」というものがあることを知ったのですが、
「就学猶予」を利用するか迷っています。
とお話されていました。
早産児ママさんの「予期せぬ早生まれ」は非常に多い悩みなのです。
以前投稿にご協力をいただいた、みきさんのお子さんも早生まれ。
お話を聞く中で、みきさんも早生まれに関して色々と感じることがあった、とのことです。
\みきさんの出産エピソードはこちら/
しかし、就学猶予に関して話題になることは意外と少なく、
まだ区役所や市役所に問い合わせる前に、
就学猶予について知っておきたい…
という早産児、低出生体重児の保護者の方にとっては、なかなか情報を得ることが難しいと感じています。
今回の投稿では、早生まれの早産児&低出生体重児のママさんからアンケートを取った結果と、
実際に「就学猶予」の制度を利用した児童&生徒さんと出会ってきた私の経験から、
「就学猶予」について詳しくお伝えいたします!
目次
早生まれの早産児&低出生体重児のママさんに調査した結果!!
私が早生まれの早産児&低出生体重児のママさん77名にアンケートを取った結果をお伝えいたします。
早生まれの早産児&低出生体重児のママさん、就学猶予を検討されたことはありますか?
その結果、
・考えたことがある・・・21%
・考えたことはない・・・23%
・実際に就学猶予を利用した・・・5%
・就学猶予そのものを知らない・・・51%
という興味深いデータを得ることができました!(ご協力ありがとうございました!)
アンケートを取った方の中で、実際に就学猶予の制度を利用した方がいたのには驚きました。
そしてもっと驚いたのは、「就学猶予そのものを知らない」という方が半数以上であったことです。
今回就学猶予について詳しくお伝えしていきますが、「ぜひおすすめ」というわけでもちろんはなく、就学猶予という制度があって、就学猶予について知ることで、お子さんの将来についての選択肢が増えることが期待できると考えています。
また、早産児の保護者以外にも、
就学猶予という制度を利用し、同級生の中で、例えば年齢が1つ上のお友達がいる(年齢が異なる子供がいる)という現状も知っていただきたいと、私自身が強く感じたため、今回の記事を書かせていただきました。
それでは、就学猶予とは一体どんな制度なのか、説明させていただきます!
就学猶予とは
就学猶予とは、就学する年齢(小学校に入学する)になったものの、やむを得ない事由で小学校の入学が困難な状況であるために、教育を受けられる状態になるまで入学を遅らせることが可能な制度です。
就学猶予が受けられる「やむを得ない事由」とは
就学猶予が受けられる「やむを得ない事由」とは、以下の通りです。
就学義務が猶予又は免除される場合とは、学校教育法第18条により、病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため就学困難と認められる場合とされています。
文部科学省HPより
「その他やむを得ない事由」は以下の通りです。
「その他やむを得ない事由」としては、主に
1.児童生徒の失踪、
2.帰国児童生徒の日本語の能力が養われるまでの一定期間、適当な機関で日本語の教育を受ける等日本語の能力を養うのに適当と認められる措置が講ぜられている場合、
3.重国籍者が家庭事情等から客観的に将来外国の国籍を選択する可能性が強いと認められ、かつ、他に教育を受ける機会が確保されていると認められる事由があるとき、
4.低出生体重児等であって、市町村の教育委員会が、当該児童生徒の教育上及び医学上の見地等の総合的な観点から、小学校及び特別支援学校への就学を猶予又は免除することが適当と判断する場合、といった事例が考えられます。
文部科学省HPより
「4.低出生体重児等・・・」の項目で、低出生体重児の記載がはっきりとあるのがお分かりいただけますでしょうか。
特に「早生まれ」の記載はありませんが、低出生体重児の場合は、就学猶予を認められるケースがあります。
ちなみに、4月1日生まれも「早生まれ」になります!
なぜ就学猶予の知名度が低いのか
低出生体重児が就学猶予の対象になっているにも関わらず、就学猶予そもそも知らない方がなぜ多いのでしょうか。
その理由が4つありますので、ぜひ知っておいていただきたいです!
就学猶予を利用する人が減っているから
就学猶予を利用する子どもが減っているのは、実は悪い話ではないのです!
そもそも就学猶予は非常に昔からある制度で、重度重複障害の子どもや、病弱の子どもが学校に通うことができなかったためにあった制度です。
1974年(昭和54年)4月1日に養護学校が義務教育になりました。
しかし、養護学校の受け入れ体制はまだ充実しておらず、学校に通いたいのに「入学を受け入れてもらえなかった」重度重複障害の子どもや、病弱の子どもがたくさんいました。
そのために、学校に通えない子どもたちが「就学猶予」や「就学免除」を利用せざるを得なかったのです。
しかし現在は、「特別支援学校(以前の養護学校。場所によっては養護学校の名称のままのところもある)」で医療体制も整えながら、多くの児童生徒が教育を受けられるよう、整備が進んでいます。
直接通うことが難しい重度重複障害の子どもや、医療的ケアが必要な子どもにも、特別支援学校(肢体不自由)では「訪問学級」というものがあり、教員が自宅に訪問して授業を行うことができます。
さらに、院内学級では、病院に入院しながら病弱の子どもが教育を受けることができます。
全ての子どもたちは教育を受ける権利があるのです。
現在、特別支援学校の充実で、一人ひとりのお子さんに合わせた発達、学習で教育を受けられるようになったため、「就学猶予」の制度を利用する子どもが減ったというわけです。
就学猶予を周りはあえてすすめないし、話題にもならないから
就学猶予の制度を利用する子どもが減ったので、周囲で就学猶予の制度を利用している子どもがほとんどいないため、話題になりにくいです。
さらに
早産児で低出生体重でした。
発達に不安があって…
と区役所、市役所、医療機関などに相談しても、恐らく
就学猶予という制度があるのですが、
検討されますか?
とはならないでしょう。
次の項目で説明しますが、手続き上の問題があるので、就学猶予をあえてすすめられることは考えにくいです。
就学猶予よりも、OT、PT、ST、療育などを勧められることでしょう。
手続きが大変な上、就学猶予が認められないことがあるから
就学猶予を認められるか、認められないかは現在でも時々話題になることがあります。
こちらが希望したからといって、低出生体重児だからといって、全てのケースが認められるわけではないのです。
決定権は市町村の教育委員会にあります。
実は、就学猶予を認めるか、認めないかは地域差があり、就学猶予・免除ともに制度を利用している子どもが1人もない県もあるとのこと。
(就学猶予を利用していないことが悪いこと、というわけではなくて、例えば地域によって学校の規模や子どもの数が異なり、学習環境も異なるので、就学猶予の制度を利用しなくても済むことも考えられます)
(参考記事↓ 最終的に就学猶予が認められたかは不明ですが、非常に大変だった様子が伺えます)
「就学猶予」柔軟運用を 早産児の長女、入学遅らせたい:中日新聞Web (chunichi.co.jp)
低出生体重児に関する項目が加わったのが、わりと最近だから
近年、日本の医療の発達により、お嬢のような超低出生体重児でも救われる命が増えてきました。
そのため、2~4ヶ月の早産児の命が救われたものの、思わぬ早産で早生まれになり、本人に適した発達で教育が受けられない子どもが増えているのも事実です。
そこで「就学猶予」について、特に早産児、早生まれの保護者から制度を利用したいという声が多く聞かれるようになりました。
保護者の意見を受け、「就学猶予」で「やむを得ない事由」に「低出生体重児…」が文部科学省の一例に加わったのが平成25年頃。
就学猶予はかなり昔からある制度にも関わらず、知られていない、もしくは
最近、早生まれの早産児が利用できる「就学猶予」ができたらしいよ!
と、就学猶予を新しい制度のように思われている方がいらっしゃるのは、
「就学猶予」で「やむを得ない事由」に「低出生体重児…」が文部科学省の一例に加わったのが、他の事例に比べて新しいからだと考えられます。
就学猶予を利用した3人の子どもたち
実は私、今まで就学猶予を利用した人と3人関わりがありました!
私が関わってきたのは「当事者」であり、「保護者」ではないため、保護者から詳しい事情を聞くことができませんでしたが、彼ら、彼女たちが「なぜ就学猶予を受けたか」は次の通りであったと考えます。
なぜ就学猶予を受けたか
ケース1 「私の同級生」
一人目は私の小学校の同級生(女の子)です。
体格は良い方で、控え目な性格でした。
発達に障害はなさそうで、なぜ就学猶予を受けたか、原因不明でした。
ケース2 「特別支援学校に通う外国人生徒」
知的障害や病弱の関係、さらに海外から転入してきた(編入)生徒さんなので、言葉の問題もあったと考えます。
ケース3 「特別支援学校に肢体不自由の生徒」
出会った当時は特別支援学校に通っていましたが、小学校は普通小に通っていました。
小学校に入学する際、知的障害と肢体不自由、体調面や出生状況の関係で、就学猶予を受けたものと考えます。
ちなみにケース2とケース3の生徒さんは
同じ地域に住んでいます!
就学猶予を寛大に認めてもらえる地域だと感じました。
就学猶予を受けるメリット、デメリット
早産児&低出生体重児が就学猶予の制度を利用するか、しないかで、その後のお子さんの大事な人生を決めることになりますので、慎重に判断したいところですよね。
そこで、就学猶予を受けるか受けないかを決める大事なポイントとして、私が感じた就学猶予のメリット、デメリットをお伝えします!
就学猶予を受けるメリット
就学猶予を受けることで次のようなメリットがあります。
●周りの同級生の中で、「できないこと」続きでは、自己肯定感が低くなってしまうことがあります。
その子に適した発達月齢で成長していけるので、「できること」が増えて、自信をもって活動することができることが期待できます。
●特別支援学級か、普通学級か悩んでる際、どちらが子どもに適しているのか見極める猶予期間を設けることができます。
お嬢のような超低出生体重児で生まれた子どもは、
特別支援学級か、普通学級かで悩む保護者が多いと医師から聞きました。
※発達の遅れで就学猶予を検討するとしたら、「早産」によるものなのか、「障害」があるからなのか、判断が難しいところですが、考えていくことが大切です。
万が一「発達障害」の可能性があるとしたら、就学猶予の制度を利用するよりも、特別支援学級などに入学を検討した方が、その子の成長に繋がることもあります。
就学猶予を受けるデメリット
就学猶予を受けることで次のようなデメリットがあります。
●小学校、中学校で周囲と同年齢でないと感じた時に、子どもがコンプレックスを感じてしまいます。
「なんで私(僕)だけ、みんなより年上なんだろう…」
という思いを必ずどこかで経験することにはなります。大切なのは、子どもの「心のケア」だと感じています。
多くの早産児&低出生体重児&胎児発育不全の保護者は、このデメリットを感じて、就学猶予を受ける選択をしない方がほとんどです。
今回の記事で、「就学猶予」についてお伝えしていますが、就学猶予の制度を利用し、同級生の中に「年上の同級生」がいることを多くの方に知っていただきたいです。
※大学生や社会人になれば、年齢の壁はなくなることでしょう。
しかしそれまでは、周囲が温かく見守っていけたら…感じています。
実際に本人や周りの反応は…
私が今まで関わった、3人の就学猶予を利用した子どもの様子と周囲の反応をお伝えします。
●ケース1「私の同級生」
小学校の発表や、誕生日の発表などで、どうしても年齢に関する話題が出ます。
そこで本人は少し気まずそうにしていた印象でした。
周りの友達も一瞬「ん?」となりましたが、特にその後、「なんで年上なの?」ということを直接本人にする友達はおらず、
私も触れてほしくなさそうな友達の様子を見て、年齢に関する質問は避けました。(よく一緒に遊んでいましたが)
担任の先生も、あえてその子が年上ということはみんなに伝えませんでしたが、
年齢に関する話題を、特別にその子のために避けようともせず。
要は、本人が気にするほど、周りは気にしていなかったのです。
周囲にとっては「特別なこと」ではないようでした。
ただ、その子が年齢のことを気にしていたので、自己紹介で年齢を発表しなければならないときに
「やめてあげてー!!」
と当時小学校低学年の私が、心の中で強く思ったのを覚えています。
●ケース2「特別支援学校に通う外国人生徒」、ケース3「特別支援学校に肢体不自由の生徒」
本人たちは全く気にしていない様子でした。
特別支援学校には様々な生徒がいることと、もしかしたら本人が周囲より年上という自覚があまりなかったのかもしれません。(知的障害があったので)
周囲も関わった当初、生徒が就学猶予の制度を利用していたことを知らなかった(年上だと知らなかった)人が多く、特別なことと感じていませんでした。
いずれのケースでも、保護者とお話する機会がありましたが、特に就学猶予について直接聞くことはなく
「就学猶予の制度を利用して後悔した、良かった」という話もありませんでした。
保育園や幼稚園でも…
就学猶予を受けるということは、1年長く保育園や幼稚園に在籍する可能性があります。
その時点で同級生と「年上」という状況になります。
また、就学猶予を受ける前に、保育園で学年を下げたクラスに入れるというケースもありました。
保育園在園中ならば、一学年あげて元の学年に戻すこともできるからです。
よく考えてみれば、保育園の0歳児クラスって、
・入園時が「0歳で年度途中に1歳になる」→来年は1歳児クラス
・年度途中に生まれて、年度途中に0歳で保育園に入る→来年も再度、0歳児クラス
0歳児クラスには、2つの学年の子がいるのですよね。
それに保育園在園中であれば、周囲のお友達や本人もあまり年齢に関することを気にせず過ごすことができます。
ただし、全ての保育園が対応可能なわけではないので、対応してくれる保育園を探すのは大変のようです。
まとめ
今回は早生まれの早産児に関する「就学猶予」についてお伝えいたしました。
就学猶予は保護者がその子の人生を大きく左右する、大切な決断です。
子どもの健康状態や発達状態を考慮し、安易に決めるものではなく、子どもにとって最善の方法は何かを考えていきたいところです。
どうか、全ての子どもたちが笑顔で過ごせる毎日が増えますように。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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